Saturday, April 11, 2026

戦争は目下のところイランの判定勝ち -政治的敗者になるトランプ大統領と、米国・イスラエルを非難しない日本も同様に「敗者」に映る|宮田律

戦争は目下のところイランの判定勝ち -政治的敗者になるトランプ大統領と、米国・イスラエルを非難しない日本も同様に「敗者」に映る|宮田律

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戦争は目下のところイランの判定勝ち -政治的敗者になるトランプ大統領と、米国・イスラエルを非難しない日本も同様に「敗者」に映る

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宮田律
宮田律
2026年4月10日 02:16
 イランと米国・イスラエルは2週間の停戦状態に入ったが、イスラエルはレバノンへの大規模な攻撃を継続し、これにイランが激しく反発して当初開放されると期待されたホルムズ海峡は「再封鎖」となった。

 米国・イスラエルはイラン・イスラム共和国体制を打倒すると言って不当な戦争を開始し、ハメネイ最高指導者を開戦当日の2月28日に殺害したが、最高指導者を選ぶ専門家会議はハメネイ師の息子のモジタバ・ハメネイ師を後継者として即座に選出した。米国・イスラエルは文民から登用されたアジーズ・ナシールザーデ国防相をやはり開戦当日に殺害し、後任にはマジド・エブネ・レザー革命防衛隊将軍が就いた。また、米国・イスラエルは、現実的な文民のアリー・ラリジャニ国家安全保障最高評議会事務局長も殺害し、その後任には強硬派のモハンマド・バゲル・ゾルガドル元革命防衛隊将軍が就任した。米国・イスラエルは中道・穏健派の政治指導者たちを次々と殺害し、極右の反米・反イスラエルの強硬派の人物たちに置き換えていった。実に愚かしいと言わざるを得ない。

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 イランでは1月に反政府デモが高揚し、デモ参加者や治安維持要員に犠牲者が出る中で、イランは国際的に孤立したが、米国とイスラエルの不当な攻撃、あるいはトランプ大統領とネタニヤフ首相の凶暴な言動によって、国際社会の多くはイランに対して同情的になり、特にイスラエルはガザ戦争の「前歴」に加えていっそうのパーリア国家(嫌われ者国家)になった。また、米国の国際的指導力も著しく低下した。国際社会で米国・イスラエルではなく、イランを非難するのは日本の高市政権ぐらいなものだった。

 イランは中東の13の米軍基地を攻撃し、そのほとんどが著しく破壊された。米軍基地はホスト国を守るどころか、かえって重大な危険にさらすことが判明した。米軍の将兵たちは基地から離れ、近隣のホテルに避難したものの、湾岸地域の情報を収集するイランはその米軍関係者たちが滞在するホテルをも攻撃の対象とした。

 イランのアラグチ外相は、湾岸諸国に米軍基地の閉鎖を求めたが、少なくとも国民レベルでは米軍基地の存続を望まないムードが高まった。イラクのシーア派住民たちはイランを支持し、イラク戦争の舞台となったイラクでは元々米軍の駐留に対する反発が強い。

 イスラエルでは軍の情報統制によって被害状況が明らかにされていないが、ハイファ製油所は被害を受け、テルアビブでもイランのミサイルやドローンの着弾が頻繁に報告された。イスラエルが誇るとされていたアイアンドーム、アロー迎撃ミサイルなど迎撃態勢が万全なものではないことが明るみになった。イスラエルは迎撃ミサイルを使い果たしたと見られ、それもまた2週間という停戦期間となった可能性がある。

 米国・イスラエルの戦争によって、石油価格が上昇したことはイラン経済にとって追い風になったことは確かで、この点でも米国・イスラエルの戦争はイランを利することになった。また、イランはホルムズ海峡の通航料を新たに得ることになったが、湾岸諸国の石油施設の修復状況が不透明であるために、来年も油価は高止まりする可能性がある。トランプ大統領は石油価格が上がる中で、イラン産原油に対する制裁を解除さざるを得なかった。石油をめぐる情勢が厳しければ、このままイラン制裁解除ということにもなりかねない。日本も再びイラン産原油を必要となる事態になるかもしれないが、そのためにも良好な対日感情は維持すべきだ。しかし、トランプ大統領に抱きつく首相がいたり、駐日イラン大使の前で「我が国の外交は日米同盟を基軸として」などと話す岸田元首相がいたりする。イラン大使の面前でイランを攻撃する国との同盟関係を強調する外交センスを疑わざるを得ないが、日本の政治家たちは中東というか、外交を知らない人が多すぎる。

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弾劾されたほうがいい。この人を高市首相はノーベル平和賞に推薦した。

 イランはこの戦争で、米国・イスラエルの攻撃への抑止力としてホルムズ海峡閉鎖や、湾岸諸国の石油掘削リグなど石油関連施設の破壊をほのめかすようになり、これがトランプ大統領に停戦を決断させるなど有効な抑止手段であることが判明することになった。

 ロシアと中国は、ベトナム戦争時代にソ連と中国が北ベトナムに軍事・経済援助を与えたように、イランを支援していくことだろう。米国・イスラエルに対抗し得るイランはこれら2国にとって貴重な「資産」となるからだ。中国は世界のドローン部品の8割ぐらいを生産すると見られているが、地理的に近いイランへの支援は、中国、ロシアとも容易で、さらに中央アジア諸国はイラン、中国、ロシアと良好な関係にある。中央アジアもイラン、中国、ロシアのトライアングルとの協調を継続することだろう。

 イランには12万人から19万人の革命防衛隊に加えて、40万人の正規軍が存在する。さらに40万人から80万人の民兵組織のバシジも活動するが、これらの軍体制が米軍・イスラエル軍の攻撃によって弱体化したようには到底思えない。

 トランプ大統領はSNSに「今夜一つの文明が消滅するだろう」と投稿したが、人権弁護士で、コロンビア大学のジャミール・ジャファー講師は、「テロリズムの定義そのものに当てはまる」と述べ、民主党のペロシ元下院議長ら70人がこの発言を問題視し、憲法修正25条の発動による副大統領への権限委譲を主張し、ラーソン下院議員は声明で、「トランプ氏は罷免に値する要件をはるかに超えているし、日増しに不安定になっている」と語った。政治的敗者は明らかにトランプ大統領のほうであり、米国・イスラエルを非難しない日本政府も国際社会には同様に「敗者」と映っていることだろう。

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