Tuesday, March 3, 2026

イラン人が「親日」になった理由 なぜアメリカでもイギリスでも中国でもなく、日本人を意識するのか 【前編】体制の暗部まで知り尽くした日本人が明らかにするリアルなイラン【JBpressセレクション】(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)

イラン人が「親日」になった理由 なぜアメリカでもイギリスでも中国でもなく、日本人を意識するのか 【前編】体制の暗部まで知り尽くした日本人が明らかにするリアルなイラン【JBpressセレクション】(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)



イラン人が「親日」になった理由 なぜアメリカでもイギリスでも中国でもなく、日本人を意識するのか
【前編】体制の暗部まで知り尽くした日本人が明らかにするリアルなイラン【JBpressセレクション】

若宮 總著者フォロー
2024.9.29(日)
中東・アフリカ時事・社会

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日本とイランは良好な関係を続けている(写真提供:Iranian Presidency/ZUMA Press/アフロ)
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目次ペルシア語のことわざに「離れていればこその友情」
日本にやってきたイラン人労働者が「大の日本びいき」に
ジブリをはじめ数々のアニメ作品を心待ちに
「日本人は、どうして子どもを泣かせて楽しそうにしているのか」
摩訶不思議で興味の尽きない国、それが日本

JBpressで掲載した人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2024/5/14)※内容は掲載当時のものです。

イスラム体制による独裁的な権威主義国家として知られるイラン。ハマス・イスラエルの衝突を機に緊張の度合いを増す中東情勢を占う上でも重要なプレーヤーだ。にもかかわらず、その実態に関する報道は、日本では極めて少ない。いったいどのような国で、人々はどように生活しているのか。長年、留学や仕事で現地に滞在し、一般社会で暮らしてきた若宮總氏が伝える本当の姿とは?

(*)本稿は『イランの地下世界』(若宮總著、角川新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
ペルシア語のことわざに「離れていればこその友情」

「イラン人は、欧米も、中露も、近隣諸国も嫌いなのだとしたら、いったいどこの国が好きなんだ?」


 これは本当に、噓偽りなく、主観を排して、客観的に、そして公平無私な立場で言わせてもらうが、答えはズバリ、日本である。

 何を隠そう、この私も、日本人が大好きなイラン人たちのおかげで、なんとか今日まで生き永らえることができたようなもので、他の国だったら今ごろ路頭に迷って野垂れ死んでいたかもしれない。

 彼らが親日である理由はいろいろあると思うが、要するにイラン人は、イランと付き合いが深かった国のことは、だいたい嫌いなのである。


 ペルシア語のことわざに、「離れていればこその友情」(ドゥーリ・オ・ドゥースティ)というのがある。くっつきすぎず、適度に離れていたほうが友情は長続きする。

 イランと日本がまさにそれで、両国の地理的・歴史的な距離が、親日感情の背景にあることは間違いない。

 もちろん、イランと関わりが薄かった国は日本以外にもたくさんあるわけで、イラン人が日本に惹かれる理由は、これだけではない。日本にやってきたイラン人労働者が「大の日本びいき」に
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日本にやってきたイラン人労働者が「大の日本びいき」に
 古くは、日露戦争での劇的な勝利、焼け野原からの驚異的な戦後復興、そして日本でも小説・映画化された日章丸事件(1953年。石油国有化を断行したイランに対し、英国が経済制裁を科すなか、これを不当とする出光興産が独自にイランへタンカーを派遣した事件)などが、イラン人の称賛を集めてきた。


 イスラム革命前は、イランに滞在する日本企業の駐在員も多く、彼らの誠実でフレンドリーな人柄に接したことで日本を好きになったというイラン人も少なくない。


 また、90年代くらいまでは、イランのほとんどの家庭には日本製の家電製品があり、何十年と使っても壊れない性能のよさも、日本のイメージ向上に貢献していたようだ。


 さらに、黒澤明や小津安二郎の映画作品、NHKドラマ『おしん』、それにいくつかの日本製子供向けアニメなどがイランでテレビ放映されていたことも、日本人の暮らしや文化を紹介するうえで、大きな役割を果たした。






知られざるイランの実像を紹介する『イランの地下世界』(若宮總著、角川新書)
ギャラリーページへ
 だが、何といっても決定的だったのは、1980年代の終わりごろから日本に大挙してやって来たイラン人労働者の存在だろう。人によっては10年以上日本で働き、われわれの言語や習慣、そして文化を余すところなく吸収した。


 幸いなことに、こうしたイラン人たちの多くが、帰国するころには大の日本びいきになっていた。そして、自らの友人や家族、親戚たちにも、日本人の規律正しさや礼節を重んじる心などについて、その後何年、いや何十年にわたり、繰り返し述懐してくれたのである。


 こうして、イランにおける親日の裾野は大きく広がることになったが、今ではあまりに日本が過大評価されているので、私などは気恥ずかしい思いをすることもある。


ジブリをはじめ数々のアニメ作品を心待ちに
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ジブリをはじめ数々のアニメ作品を心待ちに
 たとえばイラン人は、イラン社会に向けて何かを訴えたいときには、決まって「日本人はこうしているが、われわれはどうか」という論法を使う。


 曰く、「日本人は教師を厚遇することで教育の質を保っているが、イラン人はどうか」「日本人は老いてなお生きがいをもっているが、イランの高齢者はどうか」、さらには「日本の側溝を流れる水は魚が棲めるほど澄んでいるが、イランの側溝はどうか」等々。


 これが、「米国人は…」「英国人は…」「中国人は…」では、誰も耳を貸さない。事実かどうかはさておき、何としてもここは「日本人は…」でなければならない。それくらいイラン人は、日本人をあらゆる意味で模範的な人々と考えている。


 最近は、インターネットを通じて多くの若いイラン人が、ほぼリアルタイムで日本のサブカルチャーに親しんでいる。




 とりわけ人気なのは、やはりアニメだ。


『千と千尋の神隠し』(宮﨑駿監督)や『君の名は。』(新海誠監督)のような、世界の映画史に残る名作はもちろん、『ナルト』『ワンピース』『呪術廻戦』『デスノート』『進撃の巨人』、そして『鬼滅の刃』など、テレビ放映される人気作品もすべて違法サイトから(!)無料でダウンロードすることが可能だ。イランの若者たちは日々、これらの最新作が公開されるのを今か今かと心待ちにしている。


 アニメを入口として日本に興味をもち、次第に日本語はもちろん、様々な伝統文化、習俗、自然、建築、美術などへ関心を広げていく人たちもたくさんいる。


「日本人は、どうして子どもを泣かせて楽しそうにしているのか」
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ジブリをはじめ数々のアニメ作品を心待ちに

 たとえばイラン人は、イラン社会に向けて何かを訴えたいときには、決まって「日本人はこうしているが、われわれはどうか」という論法を使う。


 曰く、「日本人は教師を厚遇することで教育の質を保っているが、イラン人はどうか」「日本人は老いてなお生きがいをもっているが、イランの高齢者はどうか」、さらには「日本の側溝を流れる水は魚が棲めるほど澄んでいるが、イランの側溝はどうか」等々。

 これが、「米国人は…」「英国人は…」「中国人は…」では、誰も耳を貸さない。事実かどうかはさておき、何としてもここは「日本人は…」でなければならない。それくらいイラン人は、日本人をあらゆる意味で模範的な人々と考えている。

 最近は、インターネットを通じて多くの若いイラン人が、ほぼリアルタイムで日本のサブカルチャーに親しんでいる。


 とりわけ人気なのは、やはりアニメだ。

『千と千尋の神隠し』(宮﨑駿監督)や『君の名は。』(新海誠監督)のような、世界の映画史に残る名作はもちろん、『ナルト』『ワンピース』『呪術廻戦』『デスノート』『進撃の巨人』、そして『鬼滅の刃』など、テレビ放映される人気作品もすべて違法サイトから(!)無料でダウンロードすることが可能だ。イランの若者たちは日々、これらの最新作が公開されるのを今か今かと心待ちにしている。

 アニメを入口として日本に興味をもち、次第に日本語はもちろん、様々な伝統文化、習俗、自然、建築、美術などへ関心を広げていく人たちもたくさんいる。「日本人は、どうして子どもを泣かせて楽しそうにしているのか」
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摩訶不思議で興味の尽きない国、それが日本
 時速600キロの新幹線をつくれるのに、お寺の煙を浴びれば体の悪いところが治ると思っている。10個も20個もボタンのついたトイレを使いながら、いまだに天の川に人が住んでいると信じていて願いごとをする。人間と会話できるロボットをお披露目したかと思えば、褌一枚の男たちが真冬の祭りで頭から冷水をかぶって気勢を上げている──。


 このようなことは、イラン人にはほとんど理解不能である。われわれ日本人からすれば、別に迷信という意識はないし、そもそも大真面目にやっているわけでもない。


 そう言うと今度は、「じゃあ、なぜ続けるのですか」と詰め寄られるのだが、とにかく彼らにとって摩訶不思議で興味の尽きない国、それが日本なのである。


>>【後編】に続く
◎「イランって、酒は飲めない、豚肉はNG、女の子とデートもできない…」は、どこまで本当なのか


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「イランって、酒は飲めない、豚肉はNG、女の子とデートもできない…」は、どこまで本当なのか
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